小さな箱庭Diary

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「音楽」にまつわる小説3選

昔から読書が好きでした。別世界の物語を見る体験は、いまでもかけがえのない趣味のひとつです。本がたくさん積まれた場所は空気が凪いでいるみたいで、しんと静かだけど居心地がいい。図書館にも足しげく通っていますが、何度通っても飽きないですし、用がなくてもフラリと遊びに行きたい場所No.1にランクインしています。

先日図書館に遊びに行ったとき、はっとしたのが「音楽にまつわる小説」がピックアップされていたこと。「音楽」といえば「UNISON SQUARE GARDEN」が頭に浮かぶほど、ロックバンドに夢中になってしまうあまり、音楽に関連する小説があることをすっかり忘れていました……。

ピックアップされていた小説を含めて、わたしなりの「音楽」にまつわる小説を3選ご紹介します。

中山七里|さよならドビュッシー

あらすじ

クラシック界の巨匠ドビュッシーの調べにのせて贈る、音楽ミステリー。ピアニストを目指す遙、16歳。祖父と従姉妹とともに火事に遭い、ひとりだけ生き残ったものの、全身大火傷の大怪我を負う。それでもピアニストになることを固く誓い、コンクール優勝を目指して猛レッスンに励む。ところが周囲で不吉な出来事が次々と起こり、やがて殺人事件まで発生する―。第8回『このミス』大賞受賞作品。

おすすめポイント

まるでページから音が漏れ聞こえるようなクラッシック曲の描写に、思わずCDを買ってしまいたくなる1作品です。クラシックの知識が0でも、「こんな音なのかな?」と想像できましたし、迫力ある演奏風景が目に浮かぶようでした。

本作品は「このミステリーがすごい!」こと「このミス」大賞を受賞した作品ということもあり、旋律のように綺麗に練られた伏線は最後まで目が離せません。最後には「あっ!」と驚くどんでん返しもあって、もう一度1ページ目から読みたくなること間違いなしです。

荒木源|オケ老人!

あらすじ

平均年齢おそらく世界最高齢のアマ・オーケストラ「梅が岡交響楽団」(略称・梅響)に、高校教師・中島は間違えて入団してしまう。彼は、演奏も覚束ない「オケ老人」たちのなかで勿論一番若く、力も備わっていると目され、指揮者になってくれと皆から懇願される。その後、彼が門を叩きたかった同じ町にある人気アマオケ「梅が岡フィルハーモニー」(略称・梅フィル)との確執、梅フィルの怜悧で、完璧主義のコンマス・大沢が熱望するロシアの人気指揮者ゴルゴンスキーの来日騒動などを経て、日本・ロシアの国家機密の情報漏洩にまで話は大きく展開していくが―。

おすすめポイント

ちょんまげぷりん」の作者である荒木さんが書かれた、アマ・オーケストラにまつわる劇団話。と一言では書けない、なぜかロシアの国家機密の情報漏洩にまで繋がるという、笑えるアップテンポな1作品です。

主人公・高校教師の中島の奮闘っぷりはもちろん、オケメンバーのおじいちゃんたちの活躍も面白く、吹き出してしまうほど。音楽に熱中するのは何歳でも良いのだと肯定してくれるような優しさもあり、心が軽くなるようでした。映画化もされていて、大人から子どもまで楽しめると思います。

伊坂幸太郎|死神の精度

あらすじ

CDショップに入りびたり、苗字が町や市の名前であり、受け答えが微妙にずれていて、素手で他人に触ろうとしない―そんな人物が身近に現れたら、死神かもしれません。一週間の調査ののち、対象者の死に可否の判断をくだし、翌八日目に死は実行される。クールでどこか奇妙な死神・千葉が出会う六つの人生。

おすすめポイント

「音楽」を聴くことがなによりの楽しみな死神・千葉が主人公となった、ファンタジー設定&ミステリー作品、けれど現実味のあるリアルな短編集です。上記2作品と違い、音や曲の描写はありませんが、主人公の死神・千葉は担当する対象者の死の可否を判断する傍ら、CDショップに通い、音楽のよさを語ります。

その語り口がとってもいい……!作品として「死」をテーマにしているものの、主人公・千葉のキャラクター性はどこかほのぼのとした描写があり、重さを感じません。

また、短編のそれぞれの話は少しずつ繋がっているので読み応えもあります。最初の話から順に読んで行くと、最後の「死神対老女」は涙なしでは読めませんでした。