コントローラを動かすと、テレビ画面のリンクが動く。3Dで描かれた風景のなかを走ったり、キャラクターと話したりするたび、まるでリンクと一緒に冒険しているような気持ちになって、「ゼルダの伝説 時のオカリナ」を無我夢中で遊んだことを、いまでも忘れられません。
小学生だったわたしにとって、人生で初めて遊んだアクションRPGゲーム。アクション・謎解き・ストーリーの3つが合わさったゲームは、そのころから好きだった本と同じくらい夢中になれる、ひとつの大切な宝物になりました。
とくに好きだったのが、プレイヤーが操作する主人公「リンク」が喋らないこと。リンクの旅に同行する妖精ナビィや、ほかのキャラクターたちは喋るのに、リンクはずっと言葉を発しません。厳密には、何かしゃべっているようなそぶりを見せるのですが、画面上にその言葉は見えない。そのおかげでリンクが考えていること・感じていることへの想像が膨らみ、子どもと大人の「時」を行き来して進む物語に深く没入できたんじゃないかなと。
リンクが喋らないぶん、マップやダンジョンのBGM、謎解きやちょっとした小技にも使える「オカリナ」の音も、印象に残っています。ゲームタイトルにある「オカリナ」は、リンクが旅立つとき、旧友のサリアから貰ったもので、その想いが込められているように暖かく優しい音色。用もないのにポーチからオカリナを出して、自分が聞くだけのために、何度も何度も曲を吹いて――オカリナ好きが高じて、本物のオカリナも買ったっけ。
そうして夢中になったゲームソフトは、大人になったいまでも夢中にさせてくれています。Nintendo Switchが発売された当初は、3DSでしか遊べなかった「時のオカリナ」も、Nintendo Switch Online+追加パックで遊べるように。
HDリメイクでない、当時の3D――いまではちょっとしょぼいと思ってしまう――が、懐かしさを助長して、ともすれば泣いてしまいそうなほどでした。物語もほとんど覚えていたけれど、ゲームタイトルに「ゼルダの伝説」とあるとおり、主人公はリンクなものの、リンクが助けに行くお姫様ゼルダこそが主軸であることをいまさらに感じて、同じゲームを繰り返し遊ぶ楽しさも味わっています。
もし、初めて遊んだアクションRPGゲームが「ゼルダの伝説」でなかったとしても、おうち大好きっ子だったわたしはゲームを好きになったでしょう。けれど、初めて出会う作品がゼルダの伝説という質の高い作品だったからこそ、宝物になったのだと思いますし、十年以上追いかける大切なシリーズ作品になりました。
「時のオカリナ」から始まり、「ムジュラの仮面」、「風のタクト」、「トワイライトプリンス」、「スカイウォードソード」、「夢をみる島」。そして、「ブレスオブザワイルド」。
どの作品も予約して発売当日から遊んだ、思い出深い作品ばかり。
これらの大切な思い出たちを振り返りながら、次作の「ブレスオブザワイルド2」を楽しみに待ちたいと思います。